ことしの夏

2週間早い雪解けで始まった春に続き、夏も長引いておりまして、お盆過ぎに35℃を超えるような猛暑となり…

気候のせいかは解りませんが、山では初めて見るハシドイ(ライラックの自生種)の一斉罹病、これは道林試の専門家に伺ったところライラック褐斑病だとか、

有志で登った黒岳のチングルマは素晴らしかったですが、これも2週間早く、余裕のはずの名所もギリギリの開花で、

またケブカスズメバチが異常に多く、これまでほとんど使っていなかった防護服を用いた巣の除去にも職員はすっかり慣れ、

猛暑のなか3年生の実習ではみなさん頑張って雌阿寒岳に無事登ることができましたが、例年は残っているメアカンキンバイやイワブクロの開花は全て終わっており、

雌阿寒だけでなく各地の山頂で異常発生しているという大群に襲われたハムシを調べたらイタヤハムシだったので、注意して演習林内を観察すると、

妙にエゾイタヤがボロボロになっていると思ってはいましたが、これが実はそのイタヤハムシの仕業であったり、

…など、野生にはいろいろと小さな異変が目につく夏となっておりますが、我々人間はせいぜい体調に気をつけて平穏に暮らしたいものです。

2023.08.31 たしろ

 

7月の林内案内

7月は大きく3組の林内案内がありました。

まず7月13日に公開講座「九州大学の森と樹木」が行われました。今年は十勝植物の会と共催で22名の受講者をお迎えしました。

ヤエガワカンバの樹皮観察
樹皮がはがれず厚く蓄積する
ミズナラ人工林の中の
ササ除去実験区の解説
モニタリングサイトの紹介
手前の黒い枠は冬期用リタートラップ
皆さん、熱心に話を聞いて、質問もたくさん出ました。
公開講座は基本的に、もともと興味がある人が自ら学びに(遊びに?)くるものなので、だいたい熱心に話を聞いてもらえるし、雰囲気よく進むことが多いですね。概ね楽しんでいただけたのではないかと思います。


翌週7月20日。足寄町の新規採用職員研修として、新職員11名(+引率の先輩2名)を森に案内しました。これから勤務する足寄町の自然風土を学びましょう、という趣旨でしょうか。

ちなみに、11名には役場勤務だけでなく、看護や介護、教員など多様な職種の人が含まれるそうです。それでも例年に比べてかなり多数の新規採用があったとのこと。
タワーの上から地域の森林の概要を眺める
クマが木登りした爪痕が残るホオノキ

役場で解散
一人ひとり、感想や印象に残ったことを話してもらいました
とても熱心、という感じでもないですが、何というか、礼儀正しく粛々と話を聞いている印象でした。さすが社会人。次に会う時はこちらがお世話になる立場な気がします。末永くよろしくお願いいたします。


さらに翌日、7月21日は、帯広畜産大学3年生の研修(学生21名、教員2名)の一環で演習林内を案内しました。ちなみに午前中は足寄の化石博物館を見学したようです。
恒例の拓北タワーからの解説
やっぱりもう1段高い所に登る人がいる
オオバボダイジュは多幹の株状になりがち
個々の幹が枯れても個体は存続する、という話
ミズナラの大木の下で記念撮影
皆さん、それなりに興味をもって楽しんでもいたようでしたが、もう少し時間をとってじっくり見てもらえたら良いのだけど、と個人的には思いました。ともあれ、帯広から比較的近所にこんなに立派な森があります。皆さんの今後の卒業研究や大学院の研究など、北海道演習林でやってくれたら嬉しく思います。お待ちしております。
2023.08.07 市橋