境界の確認

九州大学北海道演習林は3,713haの森林面積を有しており、その周囲はおよそ58kmになります。
この58kmが境界になるわけですが、境界の維持管理も演習林の業務の一つです。
今回、実際に現地を歩いて境界の確認を行ってきました。

といっても58kmは長大で一回ですべてを周ることは大変な時間と労力を要します。
北海道演習林では境界を5カ所に区割りし5年かけて全て踏査することとしており、
今年はその1年分およそ14kmの現地確認を行いました。


現地には境界を示す石杭等が設置されています。
地図などで位置を把握しながら、まず境界標を探します。
境界標には「九大」などの文字が彫られています。

境界標の石杭

赤スプレーでマーキング


また境界標の近くに塩ビパイプ等で作製した見出杭が設置されています。
境界標だけではササや落ち葉、土砂の流出などで埋没する恐れがあるため、見出杭を設けて視認しやすくしています。

見出杭がないと石杭が全く見えません
 

既に設置されていますが、紛失や破損の可能性があるため予備の杭をいくつか持って歩きます。

見出杭は長くてかさばって重いです

土砂の崩壊など災害が起きていないかも同時に確認します。今回はそういった箇所は見られませんでした。


地図では平面ですが、実際には尾根谷が続きます。
急傾斜の区間もあり息が切れることもしばしばです。
加えてササの中を歩いているとマダニが足についてきて精神的にも萎えます。
幸い誰も刺されなかったようです。

山あり谷あり
 
倒木を横目に

冬になれば地面がしばれ(凍り)ます。そうなると見出杭が地面にさせなくなります。
夏だと草木が茂り見通しが悪くなります。そして暑いです。
秋の涼しくなって落葉した今頃が境界確認を行うに最適だと感じます。
マダニの活動も落ち着いてくれていればよかったのですが。

左奥にフップシ岳、雌阿寒岳、阿寒富士。右側の雲の付近に足寄市街地が見えます

 

初めて足を運ぶ場所も多く、いろいろと目にすることができました。
また一緒に歩いた古参の先輩方から現地の過去の話を聞けたりと大変貴重な体験でした。



境界確認の作業は他の演習林でも行っています。
ところ変われば違った苦労や感想があるようです。
ブログにもあがっているので、よければ覗いてみてください。


 2023.11.17 ogata