夏の実習

   9月4日から8日にかけ「森林科学入門-夏の北方林コース」を実施しました。この実習は学部や学年を超え自由に受講できる実習となっていて,「森林科学入門-冬の北方林コース」と並んで人気の実習です。

   この実習では,まず初日に一日かけて林内を周り,樹木の種類や山の見方,森林の調べ方などを幅広く学びます。

樹木の種類を勉強中
 
森林について学ぶ

   この中で疑問に思ったことや気になったことを班別で話し合い,それぞれテーマを決めた上で調査を行い検証していくという,短い時間の中に色々なことが詰め込まれたなかなか忙しい実習です。

1班「倒木調査報告書」
 
2班「人工林と天然林における下層植生の違い」

3班「エリアの違いによる土壌と植生の変化」

4班「林分による土壌の性質の違い」

班別発表

   これらの山での作業以外に,雌阿寒岳登山も組み込まれています。今回は生憎のガスと強風で6合目での引き返しとなりましたが,下山後にはこの素晴らしい景色を堪能出来ました。

オンネトーにて

   気がつけば9月も終わりにさしかかり,夏の終わりを感じます。みなさま身体には気をつけて元気にお過ごしください。また会いましょー。

2023/9/26 sa



ことしの夏

2週間早い雪解けで始まった春に続き、夏も長引いておりまして、お盆過ぎに35℃を超えるような猛暑となり…

気候のせいかは解りませんが、山では初めて見るハシドイ(ライラックの自生種)の一斉罹病、これは道林試の専門家に伺ったところライラック褐斑病だとか、

有志で登った黒岳のチングルマは素晴らしかったですが、これも2週間早く、余裕のはずの名所もギリギリの開花で、

またケブカスズメバチが異常に多く、これまでほとんど使っていなかった防護服を用いた巣の除去にも職員はすっかり慣れ、

猛暑のなか3年生の実習ではみなさん頑張って雌阿寒岳に無事登ることができましたが、例年は残っているメアカンキンバイやイワブクロの開花は全て終わっており、

雌阿寒だけでなく各地の山頂で異常発生しているという大群に襲われたハムシを調べたらイタヤハムシだったので、注意して演習林内を観察すると、

妙にエゾイタヤがボロボロになっていると思ってはいましたが、これが実はそのイタヤハムシの仕業であったり、

…など、野生にはいろいろと小さな異変が目につく夏となっておりますが、我々人間はせいぜい体調に気をつけて平穏に暮らしたいものです。

2023.08.31 たしろ

 

7月の林内案内

7月は大きく3組の林内案内がありました。

まず7月13日に公開講座「九州大学の森と樹木」が行われました。今年は十勝植物の会と共催で22名の受講者をお迎えしました。

ヤエガワカンバの樹皮観察
樹皮がはがれず厚く蓄積する
ミズナラ人工林の中の
ササ除去実験区の解説
モニタリングサイトの紹介
手前の黒い枠は冬期用リタートラップ
皆さん、熱心に話を聞いて、質問もたくさん出ました。
公開講座は基本的に、もともと興味がある人が自ら学びに(遊びに?)くるものなので、だいたい熱心に話を聞いてもらえるし、雰囲気よく進むことが多いですね。概ね楽しんでいただけたのではないかと思います。


翌週7月20日。足寄町の新規採用職員研修として、新職員11名(+引率の先輩2名)を森に案内しました。これから勤務する足寄町の自然風土を学びましょう、という趣旨でしょうか。

ちなみに、11名には役場勤務だけでなく、看護や介護、教員など多様な職種の人が含まれるそうです。それでも例年に比べてかなり多数の新規採用があったとのこと。
タワーの上から地域の森林の概要を眺める
クマが木登りした爪痕が残るホオノキ

役場で解散
一人ひとり、感想や印象に残ったことを話してもらいました
とても熱心、という感じでもないですが、何というか、礼儀正しく粛々と話を聞いている印象でした。さすが社会人。次に会う時はこちらがお世話になる立場な気がします。末永くよろしくお願いいたします。


さらに翌日、7月21日は、帯広畜産大学3年生の研修(学生21名、教員2名)の一環で演習林内を案内しました。ちなみに午前中は足寄の化石博物館を見学したようです。
恒例の拓北タワーからの解説
やっぱりもう1段高い所に登る人がいる
オオバボダイジュは多幹の株状になりがち
個々の幹が枯れても個体は存続する、という話
ミズナラの大木の下で記念撮影
皆さん、それなりに興味をもって楽しんでもいたようでしたが、もう少し時間をとってじっくり見てもらえたら良いのだけど、と個人的には思いました。ともあれ、帯広から比較的近所にこんなに立派な森があります。皆さんの今後の卒業研究や大学院の研究など、北海道演習林でやってくれたら嬉しく思います。お待ちしております。
2023.08.07 市橋

林内視察

福岡から来演された久米研究部長と演習林内を視察しました。

天候にも恵まれ気持ちよく林内を歩くことができました。現場を見ながら議論することで,職員も情報を確認できたり新たな課題を発見したりと,有意義な時間が過ごせました。


ミズナラ造林試験地の前で150年の施業や森林動態を考えてます。



自然林保全区にあるヒグマの爪痕が残るホオノキを見てます。




実習のための造林地を整備している場所で,作業の合間に情報交換です。ときおり話題にあがる昔話にも長い歴史を感じることができるのは演習林ならではだと思いました。

最後は苗畑で。


2023.06.23 Enoki

動き出した生き物たち

 最近の足寄町は日中の気温が20℃を超え,時には30℃に達することもあります。

気温の上昇に伴って,冬場には見られなかった生き物たちがようやく活発に動き出しました。


林道を横断していたジムグリ。遠くからだと落枝に見えました。



今の季節は車で林道を走ると,ちょっとした法面から鳥が飛び立つことがあります。
飛び立った場所の周辺をよく観察してみると…。

アオジの卵
一生懸命温めているところを驚かせてしまって,大変申し訳ない…。
お母さんが返ってくる前に,そっと撮影させてもらいました。
元気な雛たちが孵化することを願います。




こちらは,毎年同じ場所で産卵,孵化しているエゾサンショウウオの幼生です。
撮影のため一時的にすくった後,安全に放流。
北海道勤務になって数年経ちますが,まだ成体を見たことがありません。
今年こそは出会えると良いな…。



つい先日は,苗畑の草刈り作業中にオオミズアオの羽化に出会ったので,約1時間毎に写真を撮影してみました。

左 10時48分撮影,右 11時37分撮影

12時55分撮影

14時52分撮影

羽化したばかりなので各部分の色が鮮明に出ており,胴の部分も真っ白でふわふわしていて,とても美しかったです。
この日の作業終了時までに飛び立つ姿は見られませんでしたが,次の日には姿が見られなかったので,無事に羽ばたいていったのではないかと思います。



九州大学北海道演習林が位置する足寄町は冬の厳しい寒さが目立ちますが,個人的には,段々と暖かくなり,寒さを乗り越えた生き物たちが徐々に動き始めるワクワクを感じられるところも,魅力のひとつなのではないかなと思っています。

2023.05.30. fujiyama