北海道演習林では、毎年12月に大山神祭を行っています。
山の神様に、今年1年無事に仕事ができたことを感謝し、来年の安全をお願いします。
神事の前に職員と森林インストラクターでしめ縄をつくります。 |
みんなで協力してあみあみ。 |
神様へのお供え物 |
九州大学北海道演習林は3,713haの森林面積を有しており、その周囲はおよそ58kmになります。
この58kmが境界になるわけですが、境界の維持管理も演習林の業務の一つです。
今回、実際に現地を歩いて境界の確認を行ってきました。
といっても58kmは長大で一回ですべてを周ることは大変な時間と労力を要します。
北海道演習林では境界を5カ所に区割りし5年かけて全て踏査することとしており、
今年はその1年分およそ14kmの現地確認を行いました。
現地には境界を示す石杭等が設置されています。
地図などで位置を把握しながら、まず境界標を探します。
境界標には「九大」などの文字が彫られています。
境界標の石杭 |
赤スプレーでマーキング |
既に設置されていますが、紛失や破損の可能性があるため予備の杭をいくつか持って歩きます。見出杭は長くてかさばって重いです
土砂の崩壊など災害が起きていないかも同時に確認します。今回はそういった箇所は見られませんでした。
地図では平面ですが、実際には尾根谷が続きます。
急傾斜の区間もあり息が切れることもしばしばです。
加えてササの中を歩いているとマダニが足についてきて精神的にも萎えます。
幸い誰も刺されなかったようです。
山あり谷あり |
倒木を横目に |
冬になれば地面がしばれ(凍り)ます。そうなると見出杭が地面にさせなくなります。
夏だと草木が茂り見通しが悪くなります。そして暑いです。
秋の涼しくなって落葉した今頃が境界確認を行うに最適だと感じます。
マダニの活動も落ち着いてくれていればよかったのですが。
左奥にフップシ岳、雌阿寒岳、阿寒富士。右側の雲の付近に足寄市街地が見えます |
初めて足を運ぶ場所も多く、いろいろと目にすることができました。
また一緒に歩いた古参の先輩方から現地の過去の話を聞けたりと大変貴重な体験でした。
境界確認の作業は他の演習林でも行っています。
ところ変われば違った苦労や感想があるようです。
ブログにもあがっているので、よければ覗いてみてください。
2023.11.17 ogata
9月から10月にかけて足寄町に所在する小学校・中学校・高校を対象とした林業体験が行われました。社会連携事業の一環で行われており、九州大学北海道演習林を知ってもらう事、足寄町の基幹産業の一つである林業に触れてもらう事が目的です。
まずは足寄小学校です。今年度は新しい試みとして「樹幹解析」の実践を行いました。12mほどの切り倒したカラマツの長さを測り、1mごとに円板を採取しました。各円板から年輪の数を数えて木の成長過程が推定できます。
木材の長さを測定 |
丸太から円板を採取 |
樹幹解析の方法とは・・・ |
丸太を切る作業は子ども達に人気の活動の一つです。今回も一生懸命にノコギリを使って取り組んでいました。解析用と別にお土産まで持って帰る子がいました。樹幹解析はうまくできたかな?
次に足寄中学校の林業体験では、木の葉を見て木の種類を見分ける方法を学びました。葉をよく見て特徴を捉えることが大事です。山を歩きながら、図鑑と見比べて相談していました。
さらに、北海道で多く植栽されているアカエゾマツの2m枝打作業を体験してもらいました。おおよそ2mの高さの枝をのこぎりを使い、切り落とす作業になります。刃物を使うため、安全上の注意点や作業を行う方法を説明したあと、アカエゾマツが植栽された山の斜面を登ってもらいました。
枝打の効果や安全な作業について説明 |
低い部分の枝も丁寧に |
急な斜面でも丁寧に |
足場が悪い中での気を使う作業ですが、前のめりで作業をしてくれました。徐々に作業手順やノコギリの使い方が上手になる様子が見て取れました。作業の大変さも伝わったでしょうか。車いすの生徒がおり、全て同じ事は出来ませんでしたが、枝打作業も体験してもらえました。
そして、足寄高校は、中学校と同じように木の見分け方を学び、トドマツの除伐と4m枝打作業の体験を行いました。木の見分け方では、班ごとに相談したり、案内した教員に質問をしながら学んでいました。
除伐では人工林の中で成長が良くないトドマツを伐倒し、片付けまで行いました。4m枝打は高枝ノコを使い、約4mの高さまで枝を切り落とします。
作業の方法と注意点の説明 |
水平に切り口を入れるのが難しい |
高枝鋸で4mまで枝を切ります |
伐倒の時には、周りの枝を鳴らしながら倒れる音に歓声が上がっていました。中学校で一度演習林に来ている生徒さんが多く、ノコギリを上手に使っていました。4m枝打で使用する高枝ノコは初めての子ばかりでしたが、器用に使う子もいて驚きました。
森林を観察する事や森林で作業する事に興味を持ってくれると幸いです。
2023/11/02 yamauchi
9月4日から8日にかけ「森林科学入門-夏の北方林コース」を実施しました。この実習は学部や学年を超え自由に受講できる実習となっていて,「森林科学入門-冬の北方林コース」と並んで人気の実習です。
この実習では,まず初日に一日かけて林内を周り,樹木の種類や山の見方,森林の調べ方などを幅広く学びます。
樹木の種類を勉強中 |
森林について学ぶ |
この中で疑問に思ったことや気になったことを班別で話し合い,それぞれテーマを決めた上で調査を行い検証していくという,短い時間の中に色々なことが詰め込まれたなかなか忙しい実習です。
1班「倒木調査報告書」 |
2班「人工林と天然林における下層植生の違い」 |
3班「エリアの違いによる土壌と植生の変化」 |
4班「林分による土壌の性質の違い」 |
班別発表 |
これらの山での作業以外に,雌阿寒岳登山も組み込まれています。今回は生憎のガスと強風で6合目での引き返しとなりましたが,下山後にはこの素晴らしい景色を堪能出来ました。
オンネトーにて |
気がつけば9月も終わりにさしかかり,夏の終わりを感じます。みなさま身体には気をつけて元気にお過ごしください。また会いましょー。
2023/9/26 sa
2週間早い雪解けで始まった春に続き、夏も長引いておりまして、お盆過ぎに35℃を超えるような猛暑となり…
気候のせいかは解りませんが、山では初めて見るハシドイ(ライラックの自生種)の一斉罹病、これは道林試の専門家に伺ったところライラック褐斑病だとか、
有志で登った黒岳のチングルマは素晴らしかったですが、これも2週間早く、余裕のはずの名所もギリギリの開花で、
またケブカスズメバチが異常に多く、これまでほとんど使っていなかった防護服を用いた巣の除去にも職員はすっかり慣れ、
猛暑のなか3年生の実習ではみなさん頑張って雌阿寒岳に無事登ることができましたが、例年は残っているメアカンキンバイやイワブクロの開花は全て終わっており、
雌阿寒だけでなく各地の山頂で異常発生しているという大群に襲われたハムシを調べたらイタヤハムシだったので、注意して演習林内を観察すると、
妙にエゾイタヤがボロボロになっていると思ってはいましたが、これが実はそのイタヤハムシの仕業であったり、
…など、野生にはいろいろと小さな異変が目につく夏となっておりますが、我々人間はせいぜい体調に気をつけて平穏に暮らしたいものです。
2023.08.31 たしろ
7月は大きく3組の林内案内がありました。
まず7月13日に公開講座「九州大学の森と樹木」が行われました。今年は十勝植物の会と共催で22名の受講者をお迎えしました。
ヤエガワカンバの樹皮観察 樹皮がはがれず厚く蓄積する |
ミズナラ人工林の中の ササ除去実験区の解説 |
モニタリングサイトの紹介 手前の黒い枠は冬期用リタートラップ |
タワーの上から地域の森林の概要を眺める |
クマが木登りした爪痕が残るホオノキ |
役場で解散 一人ひとり、感想や印象に残ったことを話してもらいました |
恒例の拓北タワーからの解説 やっぱりもう1段高い所に登る人がいる |
オオバボダイジュは多幹の株状になりがち 個々の幹が枯れても個体は存続する、という話 |
ミズナラの大木の下で記念撮影 |
福岡から来演された久米研究部長と演習林内を視察しました。
天候にも恵まれ気持ちよく林内を歩くことができました。現場を見ながら議論することで,職員も情報を確認できたり新たな課題を発見したりと,有意義な時間が過ごせました。
2023.06.23 Enoki
最近の足寄町は日中の気温が20℃を超え,時には30℃に達することもあります。
気温の上昇に伴って,冬場には見られなかった生き物たちがようやく活発に動き出しました。
アオジの卵 |
左 10時48分撮影,右 11時37分撮影 |
12時55分撮影 |
14時52分撮影 |